「同伴者である聖霊」

使徒言行録16章6-10節

説教 栗原 健 兄

 聖霊降臨日(ペンテコステ)から3週間が経ちました。今日は、聖霊の働きのことを考えてみましょう。

 19世紀フランスの司祭J・M・ヴィアンネ(1786年-1859年)は、聖霊のことをこうたとえています。「ある王が、家来を旅に出すことになった。王は自分の大臣を呼び寄せると、こう命じた。『私の家臣が旅に出る。あなたは彼に同行し、彼が使命を果たせるようにせよ。旅が終わった時には、必ず彼を無事に私のもとへ連れ帰るように。』」 これは確かに聖霊の働きをよく描いています。私たちの人生の同伴者、導き手として聖霊が与えられているのです。

 今日の聖書箇所は、パウロの第2回宣教旅行(聖書巻末地図8)で起きたことを記しています。アジア州へと向かいかけたパウロは次々に聖霊に阻まれ、さ迷うように旅を続けた後、幻を見てマケドニアに行きます。ヨーロッパにキリスト教が伝わった歴史的場面とされていますが、その前にパウロは、混乱しながら歩むストレスの多い旅をしたのです。

 私たちは、迷いが無くなって自分の道が見える、物事がうまく進むことを聖霊の導きと考えるかも知れません。しかし、パウロのように道に迷うこと、無駄にしか思えないような体験をすることも聖霊の導きの一部、道のりの一部なのです。自分の思惑通りに進まないからこそ「恵み」が働くのですね。必ず私たちを神様のもとに連れ帰ってくれる聖霊が共に旅してくれます。勇気をもって進んで行きましょう。

2020年6月21日 | カテゴリー : 主日礼拝説教 | 投稿者 : サイト管理者