「虹の架け橋」

ホセア書 10章12節

説教 新免 貢 教師

 2年前、侵入者と間違えられた自分の息子を白人女性警官に射殺された黒人女性が法廷で証言しました、「赦しは私たちキリスト者にとって癒しとなります。しかし、私たちには、自分たちが住んでいる町で、まっとうで正しいこと(=正義)が行われるようにする責任があります」。重みのある言葉です。赦しと正義は切り離せません。赦しは決して軽いものではなく、正義を求めて共に戦うことを伴います。最近も黒人男性が警察側の暴力で命を奪われ、正義が行われるように責任を問う大抗議デモが全米各地で展開されています。
 「正義」に関連して、『ホセア書』10章12節が思い起こされます。そこに「あなたたちは自分のために正義をまき、いつくしみに見合った刈りとりを行いなさい…」と記されています。聖書全体の人間観と世界観が美しく要約されています。根元に土をかぶせて草木を育てるように、正義の感覚を互いにつちかい、養い育てる。それがその中心的メッセージです。「正義」は、ひどい目にあっている人たちの訴えが正しく聞きあげられることです。「正義」には「慈しみ」が伴います。「慈しみ」は、忠実に生きる態度、変わらない心づかいなどを意味します。「慈しみ」と「正義」は間違いなく良き実を結びます。この二つが、コロナウィルス感染下の混乱した世界を修復していくための社会的基盤として、まだ見ぬ未来につながる虹の架け橋となることが期待されます。

2020年6月14日 | カテゴリー : 主日礼拝説教 | 投稿者 : サイト管理者