マタイによる福音書 7章7~12節
説教 伊藤 香美子 姉
「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。」 この聖句は、「測り知ることのできないほど価値のある理想的な倫理原則」、「キリスト教倫理の根本原理を最も適格に表現したもの」として、ヨーロッパでは18世紀以来「黄金律」と呼ばれています。似たような格言は世界中にいろいろありますが、この聖句のように肯定形ではなく、同じような意味で否定形のものもあって、私たちには「己の欲せざるところ、これを人に施すなかれ」(『論語』)はなじみ深いものです。
この聖句の意味は明白で、ただ実行あるのみです。しかし、これを実行しようとするなら、私にとってこれほど難しい聖句はないのではないかとさえ思われます。先日もこの聖句を実行しようとして、大失敗してしまいました。私はその経験から人の思いを正しく悟ることができない人間であることを思い知らされ、その人に深くおわびし、神様に赦しを祈りました。
神様の赦しの愛に励まされて、何とか人の思いを正しく悟り、それを実行できる人間になりたいと祈る日々です。