「平和を考える日礼拝」

 9月8日に「平和を考える礼拝」が行われました。

 今年は、「とめよう戦争への道!百万人署名宮城県委員会」代表で、様々な市民運動で盛んに活動されている立石美穂さんにメッセージをしていただきました。昨年の10月から続くイスラエル軍のガザ地区侵攻に反対するデモでも精力的に活動されている立石さんは、ガザの平和を願い、連帯する祈りが込められたスイカのバッチを胸につけて、平和のために私たち主権者ができることはたくさんあると語ってくださいました。立石さんのレジュメを紹介します。

「平和のために私にできること」

立石 美穂

 立石美穂と申します。市民運動をいろいろとやっています。20代の頃からずっとなので、生活の中に運動がある感じで、もしかすると運動の中に生活があるのかもしれません。

 最初に私のおいたちなどを少しお話ししたいと思います。1960年に福井県の敦賀市で生まれました。父が国鉄職員だったため、生後100日で敦賀を離れ、北陸地方をあちこち行ったり来たり、小学校は金沢で卒業し、静岡市の中学校に入学、中3の夏休みに広島市に引っ越し、中学校の残りと、高校、予備校と広島で過ごし、大学入学で仙台にやってきて、それからずっと仙台に住んでいます。

 14歳という多感な時期に広島に行ったことがその後の私の生き方に影響していると思います。1974年でした。それまで通っていた静岡の中学校に比べて、すごく自由な学校で、髪形も自由度が高いし、休み時間にギターを弾いている子がいたり、けっこう驚きました。また、週に一時間平和教育の時間があり、その時に部落問題などを初めて知りました。街の中にある中学校でした。広島は川がたくさんありますが、川沿いにはバラックがいくつも建っていました。戦後30年近くたっていましたが、まだ終戦直後のような感じがありました。卒業して大人になってから、あのバラックから同じ中学校に通っていた子もいたのだと聞きました。バラックに住む人たちは、原爆にあってから、立ち直りそこねたのかもしれないし、どんな事情があったのか、今どうしているのかと気になります。そして、これも大人になってから知りましたが、同級生には被爆2世の人が結構いるということです。同窓会に行くと、この年齢で亡くなっている人が多いのです。8年くらい前に、あれ?と思いました。癌で亡くなった人、闘病中の人が仙台の周りの人よりも、圧倒的に多いと思います。先生も早く亡くなった方がいて、被爆しとったんじゃ、と聞きました。

 さて、私が今やっていることをざっとお話しします。戦争反対と原発反対をメインに動いています。今回は戦争反対のことをお話ししようと思いますが、私は、とめよう戦争への道!百万人署名運動宮城県委員会の代表をしています。百万人の署名運動は、戦争と戦争につながるすべてのことに反対する運動です。具体的なテーマはたくさんありますが、特に憲法改悪、そして沖縄問題が大きなテーマとして、ずっとあります。それから、地元宮城県でもきな臭い動きがたくさんあります。6月には、自衛隊松島基地で、バリアントシールドという米軍との合同演習があり、演習反対の申し入れに行きました。自衛隊基地と東松島市にも申し入れたのですが、東松島市は騒音や安全といった、市民生活への影響という点からしかこの演習の問題点を捉えていないことにびっくりしました。これは、青森の三沢基地が敵からの攻撃で使えなくなった場合に備えて、という想定で行われた訓練で、内容的には、敵基地攻撃といった事柄も入ってきます。これは今までの訓練からは一歩ふみこんだ内容で、ほかの国から見たらどのようなことなのか、ということを東松島市の担当の人は考えていないのです。松島基地というとブルーインパルスが有名で、宮城県のみならず、各地のお祭りで曲芸飛行が行われていますが、あれも戦闘訓練の一環です。また街の人の多いところで曲芸飛行をするのはとんでもなく危険なことだと思います。しかし、東松島市は、ブルーインパルスの町として宣伝し、ブルーインパルスがついたグッズがお土産としてコンビニでも売られています。自衛隊に親しみを持たせるとか、子どものあこがれにさせるとかのたくらみに、多くの人がのっかっていることが心配です。自衛隊を憲法に明記しようとしている自民党の憲法改悪のたくらみにもつながっていると思います。でも、Facebookを見ると、お祭りの時にブルーインパルスの写真がいっぱい出てきて、あなたも!とがっかりしました。

 そして今日からは王城寺原の自衛隊演習場で、ブリュネタカモリと名付けられた、フランス軍との合同演習が始まっています。私たちは昨日反対の申し入れをしたばかりです。これはどんな演習かと言いますと、都市ゲリラを想定した訓練だそうです。フランス軍は、アルジェリアやチャドでゲリラ戦の経験があるから、それに学ぶのだそうです。どう思われますか?私は、戦争がますます身近で、すぐにでも始まりそうな気持になります。心がざわざわします。でも、報道はそんなに大きくないし、気にしていないと通り過ぎてしまいます。そういうことが自公政権の狙いかとも思います。

 ウクライナ戦争が始まって2年半が過ぎました。昨年2月にウクライナから石巻に避難しているイリナさんのお話を聞きました。ロシア軍が国境あたりで訓練をしているのは知っていた、しかし戦争が始まるとは思っていなかった。2月24日に隣の人がどんどんとドアをたたいて「戦争が始まったのよ!」と言いに来たので初めて知った、と言っていました。それからマンション地下の防空壕で暮らした話や、日本に避難してくるまでの経緯などを聞いたのですが、そんなことがあってはいけないということです。そんなに急に戦争って始まるものなのかと、驚きましたが、それは急と言っても、情報が少なかったり、正しく報道されていなかったり、自分でバイアスをかけてそれほどのこととは思っていなかった、ということだと思います。そうなる前に止めること、アンテナを高くして、政府に騙されないことが大事なのではないでしょうか。今は毎週水曜日に、ウクライナ戦争反対のスタンディングを長町でやっていて、私はできる限り参加しています。昨年10月からはパレスチナへのイスラエルの攻撃にも反対をしています。パレスチナの問題が始まってから、ウクライナの行動が少なくなってしまい、数少ない機会としてがんばって参加しています。

 パレスチナの話になりましたが、こちらは、パレスチナと仙台を結ぶ会の石川さんが中心になって、毎週土日にスタンディングまたは、日曜日は2週間に1回の割でデモをしています。ウクライナにしても、パレスチナにしても、私たちがこんな遠く離れた日本の地方都市でスタンディングやデモをして、何の役に立つのか?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。私が行動する理由は、いてもたってもいられないからということですが、役に立つ理由もあります。まず、町ゆく人々に知らせること。ちゃんと話を聞いてもらえるかどうか、ということはありますが、少なくとも目に入って、ちょっと気になってほしい。立っていて、高校生が「ガザの攻撃やめろって何のこと?」と友達に言っているのが聞こえました。今年の6月くらいです。こんなに報道されているのに自分の興味のあること以外は入ってこないんだな、と思いました。テレビのニュースも見ないで、新聞も読まないで、ネットで興味のあることだけを調べていたら、そうなってしまうかもしれません。今日、駅前で「ガザへの攻撃やめろ!」というプラカード持っている人を見た。あれは何だろう、ということがきっかけとなるかもしれないのです。

 役に立つ理由その2です。それは、ウクライナの人たち、パレスチナの人たちに私たちの行動が伝わり、自分たちは孤独ではない、世界に見捨てられていないと思ってもらえることです。これはSNSの時代ならではのこと。私もFacebookで行動を発信していますが、ティックトックで動画をあげている人もいますし、私たちの小さな行動は世界に伝わっているのです。小さな行動でも何もしないのとは全然違う。ゼロはいくつ足してもゼロですが、1たす1は2です。足せば足すほどふえていきます。小さな行動がつながって世界を変えていくと思います。

 そして役に立つ理由その3です。それは戦争はウクライナやパレスチナのことではなく、日本の問題につながっているということです。パレスチナは戦争ではなくて、イスラエルによる虐殺であると考えますが。しかし、軍事化が進む沖縄の人が「今日のガザは明日の沖縄」と言いました。私はそれに「明後日の宮城」と言いたいのです。その理由は、先ほどお話しした宮城県内での自衛隊と各国との軍事演習のことともつながります。特に安倍政権、菅政権から岸田政権になって、いっそう具体的な戦争の準備が始まったと思います。敵基地攻撃能力、これは反撃能力と言い換えましたが、遠いところの敵国の基地から爆弾が放たれる前に攻撃する能力ですから、迎撃とは違い、先制攻撃そのものです。それを国会にも諮らないで閣議決定で決めたということはとんでもないことです。そういうことを許さない、ということをいろいろな機会に言い続けること、決して忘れないこと、これが大事なことです。それは、遠いところで起きている戦争や虐殺とつながっているということ。今回のこの2つの戦争・虐殺は、原因は違いますが、どちらも武器がなければできませんし、武器が供給されるから続いています。その武器は日本と無関係ではありません。日本製の部品が軍事用に転用されているという事実があります。もっと露骨に日本がライセンス契約でパトリオットを作り、それをアメリカに輸出することが可能になりました。ということは、日本製の武器をウクライナやイスラエルが使うかもしれないのです。また、逆に、イスラエル製の武器を日本が買う動きもあります。実践で使って効果があることが確かめられているからです。日本に住んでいる私たちは遠い国の戦争と無関係ではないのです。

 だから私たちには平和のためにできることがたくさんあります。私はスタンディングやデモなど人目に目立つような行動をしていますが、それができなくても、戦争についてだれかと話すことだって立派な行動だと思います。本を読んで知ること。講演会などに行くこと。日本政府にイスラエルに攻撃をやめるように言ってくださいと電話したり、FAXを送ったり、Xに投書したり、メールを送ったりすること。ロシアやイスラエルのものを買わない、イスラエルに協力する企業のものを買わない、これはスターバックスやマクドナルドが有名ですが、他にも調べていただけるといいと思います。調べるということも反戦運動の一つだと思います。イスラエル製の武器を輸入する代理店に抗議している動きも聞いています。防衛大学校の卒業生らがイスラエル製の攻撃型ドローンの購入停止の署名活動をしていた話は今年6月ごろに話題になりました。私たちができる署名もいろいろあります。他にも学生たちの行動を支援する、パレスチナの病院や、子どもたちの救援するところに寄付をする、など。先ほども申し上げましたが、1たす1は2なので、小さな行動でもあきらめないで続けていくことで、世界は変わるのです。世界は簡単に変わらないと言われますが、確かに簡単じゃないですが、変わります。だって世界は私たち一人ひとりでできているのですから。あきらめないことが肝心です。平和な未来をあきらめないこと。世界中の人がみんなあきらめたら、地球が滅びてしまいますから。

 平和は黙って政府の言うとおりにしていては守れないのだと思います。世界の平和をあきらめないで、平和のためにできることを毎日積み重ねていくことしかないのだと思ってこれからも生きていきます。

 以上で私の話はおしまいです。お聞きくださってありがとうございました。

えほんのしょうかい

作:森 絵都
絵:吉田尚令
岩崎書店

5月19日はペンテコステ礼拝でした。教会の誕生日でもあるこの日、こどもさんびか「ふしぎなかぜが」のさんびかに新たな力を得た思いでした。

この絵本は、2015年のペンテコステ礼拝で読んだ絵本です。原発事故がおきたすぐそばの福島県浪江町。牛飼いの吉沢さんは、被爆して商品とならなくなった360頭の牛の世話をずっと続けます。自分が飼っていた牛だけでなく、お世話をする人がいなくなり、放たれた牛たちも一緒に飼い続けます。その時の吉沢さんの複雑な想いを抱きながらも飼い続ける姿が描かれています。

最近、吉沢さんが震災から13年たった今なお、180頭の被爆した牛を飼っている番組を視聴しました。牛は20年生きる動物だそうです。年老いた牛1頭1頭の最後を見守り、命の意味と向き合い続ける吉沢さん。ぜひ、「希望の牧場」を手に取ってほしいと思います。

子どもの教会からのメッセージ月間より2

2023年度第2回目の子どもの教会からのメッセージ月間の2週目は、高坂乃安さん(教会員)の「いま、できること」でした。高坂さんは、審議が始まったばかりの「仙台パートナーシップ制度」からお話を展開され、「あたりまえ」とされていることをどう捉えるのかについて語っていただきました。レジュメを掲載したいと思います。

『いま、できること』  
2024・2・25
高坂 乃安   
 
おはようございます。今日こうしてメッセージをする機会をいただけたことに感謝します。2024年になった直後、能登半島地震が起こり多くの方が今なお苦しみのただなかにあります。能登半島地震を受けて思い起こされるのは、やはり東日本大震災のこと、そして、いまこうして私たちが「あたりまえ」だと思っていることが、「あたりまえ」ではないのだと感じています。

 最近、10年前のバラエティ番組を目にする機会があり、驚いたことがありました。ある男性の芸人さんがいじられている場面でしたが、「〇〇は女好き。そして男も好き」というような言葉に、笑いが起きていました。
今の私たちの感覚からすると、「それで笑いをとるなんて古くない?」とか「不適切だし不愉快」と感じる内容ですが、私たちの国は、たった10年前、2014年にはそれが面白いこととして取り上げられているありさまでした。昨年、いわゆるLGBT法が成立しましたが、法律が整備されることによって、ようやくそういった笑いのあり方にメディア内部でも疑問が入るようになったのだと思います。

 さて、先日も牧師のメッセージの中で取り上げられましたが、ここ仙台において、ようやく「パートナーシップ制度」の導入が決定し、内容の精査が始まりました。では「パートナーシップ制度」とはどのようなものでしょうか。皆さんなんとなく「同性のパートナーが結婚できる制度」もしくは「結婚まではいかないけどそれに近いような制度」というイメージはあるかもしれません。

前提として、現在日本では同性同士の結婚は法的に認められていません。そこで法的には認められない同性パートナーが県や市にパートナーであると認められる制度が、「パートナーシップ制度」です。

法律で決まっておらず、都道府県や市町村でそれぞれ制度を作っているため、制度の内容は都市間でかなりのばらつきがあります。例えば、日本で初めてパートナーシップ制度を導入した渋谷区では、「条例」として制度を作っているので、渋谷区の議会を通して内容を決めています。そのため、渋谷区内では法的な効力もある、異性間の結婚制度により近いものとして作られています。ただし、手続きは大変で、認定が降りるまでにも時間がかかるようです。

また、同じ東京の世田谷区では、条例ではなく、区の内部で制度を作っており、区議会を通さない形になっているので、法的な効力はありません。そのため、手続きは渋谷区よりも簡単なものになっているようです。どちらも一長一短ですが、同棲パートナーが住む場所によって、受けられる制度が違うことやそもそもパートナーシップ制度がない自治体もあり、不公平なのは明らかです。そもそも同性間で結婚ができる法律になっていれば、何も悩む必要がないのですが…

 ちなみに隣の台湾では2019年に同性婚が認められました。
さて、話は仙台に戻ります。パートナーシップ制度の導入を決めましたが、20箇所ある政令指定都市で一番遅いという状況です。大変恥ずかしく思いますが、それでも「宮城県内では初めてパートナーシップ制度を導入」という、恥の上塗りというべき状況です。ちなみに、あるサイトによれば、県内で1箇所もパートナーシップ制度を導入していないのは、宮城県・山形県・福島県・島根県となっており、東北が遅れをとっていることは否定できません。東北が遅れている原因はわかりませんが、東日本大地震からの復興に時間と労力を割いていたことや保守的な人が多いなどの可能性があるのかもしれません。実態としてこのような現状なのは、嘆かわしいことです。

個人的にはここまで遅きに失したのであれば、今までなかったような制度を作った方が良いのでは…と思っています。例えば、全国どこに住んでいる人でも仙台ではパートナーシップの宣誓を受け入れるというものもありでしょう。先ほど話に上がった渋谷区や世田谷区も含め、私が調べた限りでは、同性パートナーの少なくともどちらか一人が宣誓をする自治体に住んでいることが条件となっています。でも宮城県や福島県のように自分の住んでいる県のどこでもパートナーシップ制度をやっていない場合、やっている自治体に引っ越すのも大変です。仕事も変えなきゃいけないし、土地勘もないかもしれない。一方、異性間の婚姻届は、全国どこに住んでいても、どこの役所でも受け付けてくれます。私も仙台市に住民票がありましたが、東京都の武蔵野市役所に婚姻届を提出して受理してもらいました。異性では当たり前に認められるのに、同性だとダメというのはオカシイですよね?
 
話は脱線しますが、メディアなどではよくLGBTのことを「性的マイノリティ」と呼んでいます。私はこの「性的マイノリティ」という言葉が嫌いです。「マイノリティ」という言葉は「少数派」という意味で、対義語は「マジョリティ」「多数派」となります。

つまり、「マイノリティ」という言葉そのものに「多数派に対する少数派」という差別的な意味が含まれている、と感じるのです。少数派を「弱者」と言い換えても良いかもしれません。これは、日本という国においては非常に危うい、危険な言葉だと感じています。日本人はよく「協調性がある」と言われますが、裏を返せば「集団心理や同調圧力に弱い」ということになります。コロナがいい例でしょう。今となってはマスクの着用は個人の判断とされたことで、マスクをつけていなくても街中を歩けるようになりましたが、一時期はマスクをつけていなければ、鬼の首を取ったように非難されました。パンデミックの中、致し方ないところもあったのでしょうが、世界に目を向ければ、マスクの義務化が解除されるのは日本よりもだいぶ早く、個人が尊重される社会が出来上がっていると言えるかもしれません。コロナへの対応として、どちらが正しかったのかはわかりませんが、多数派の意見に弱く、流されやすいというのは日本人の特徴と言えるのでしょう。そんな国民性の中で、「マイノリティ」という言葉は、「自分たちとは違う」という意識や「多数派ではない異端者」という意識を呼び起こす、危うい言葉だと感じています。
これは冒頭のバラエティ番組の話にも通じます。たった10年前まで「多数派」の人たちが、「男性が男性を好き」ということを「おもしろおかしいこと」と感じていたからこそ、番組が成り立っていたと言えます。
 
さて、ここまでパートナーシップ制度の話を展開してきましたが、今日のテーマは「いま、できること」としました。では、仙台市のパートナーシップ制度の導入に対して、私たちが「いま、できること」とはなんでしょう。例えば、LGBT関係のデモ行進に参加してみるのも良いでしょう。または、パブリックコメントに意見を出すのも良いでしょう。これらは、わかりやすく行動に移す例です。でも、行動に移すほどの熱量を持ち続けることも大変ですよね。そんな時は、今日の話を心に留めておいてほしいのです。自分たちの考えの及ばないところで苦しんでいる人たちがいる、そして自分自身もいつか「マイノリティ」というレッテルを貼られ、苦しむことになるかもしれない。
パートナーシップ制度の話は、一つの例に過ぎません。私たちが生きているうえで「あたりまえ」であることに常に批判的に、つまり「あたりまえではない」と思ってみることが必要です。結婚という選択肢があるのは誰にも与えられたあたりまえの権利ではなく、「異性同士にのみ与えられた特権」です。能登半島地震の被災者にとって、冬に暖房をつけて、暖かい場所にいられるというのもあたりまえではありません。当然、政治家の裏金には税金がかからないというのはあたりまえではありません。
私たちがあたりまえに受けている権利や恩恵に感謝しつつ、そのあたりまえを受けられない人たちのことを常に心の片隅に置いておきたいと思います。


子どもの教会からのメッセージ月間より

2023年度第2回目の子どもの教会からのメッセージ月間についてお伝えしていきたいと思います。初回は鈴木治さん(教会員)の「共に生きるしかない(パレスチナを憂いて)」でした。 鈴木さんは、イスラエルの農業を中心とした共同体の「キブツ」で研修生をしていた経験から、昨年10月から続くイスラエルのガザへの攻撃について大変憂いていること、そして平和への願いを語ってくださいました。鈴木さんのレジュメを掲載したいと思います。

えほんのしょうかい

さく・え  いのうえ みか
いのちのことば社

この絵本は、ページいっぱいにカラフルな野菜スタンプのコラージュの世界が広がっています。

ページをめくるたびに野菜の外から見ているだけではわからないふしぎなかたちが楽しめて、ページをめくるたびにワクワクします!

そして、最高のデザイナーである神さまを感じることができるのではないでしょうか。

収穫感謝日が近づいてきました。例年になく暑かった今年の夏。きびしい暑さの中で、自然と向き合って、私たちの食べ物を作ってくださった方たち、猟ってくださった方たち、そして何より光や雨を注いでくださった神さまに共に感謝したいですね。そのたくさんの恵みを共に分け合っていくことができますようにと祈ります。

年少さん向けと紹介されていますが、どなたでも楽しめると思います。どうぞ、手に取って見てください。

絵本のしょうかい

戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」

自由と平和のための京大有志の会文
塚本 やすし 絵
朝日新聞出版

今回は、戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」をしょうかいします。
 2015年に京都大学の学生と教員が中心になって出した「自由と平和のための京大有志の会声明書」を「こども語訳」にして絵をつけた子どもたちのためのやさしい絵本です。とてもストレートに「せんそうやめて」と訴える絵本です。なぜ「せんそうやめて!」と大きな声で言うのかをわかりやすく解いてくれています。
 この本が出てすぐに子どもの礼拝で読み聞かせをしました。それもYouTubeに上がっているギターの弾き語りバージョンで行いました。もともと言葉一つ一つに迫力があるのですが、メロディーに乗せると迫力満点でした。
 もうすぐ8月ですね。この時期はたくさんの「へいわ」や「せんそう」をテーマにした絵本が図書館や本屋さんに並ぶと思いますが、おすすめの1冊です。

絵本の紹介

「絵が語る八重山の戦争」  郷土の眼と記憶

潮平 正道(著)
発行2020年8月15日(初版)
南山舎

 この本は、戦争中に八重山で起こっていたことが描かれています。米軍が上陸し激しい地上戦が繰り広げられた沖縄島では、アメリカ軍が撮影した写真が残っていますが、八重山では記録が残っていません。この本は八重山の戦争の様子を知るには貴重な作品で、1度は絶版になりましたが再販運動がおこされ、2023年の6月から再販され始めました。

八重山の石垣島で生まれた潮平さんは、戦後に子どもたちに平和学習をする際に戦争体験を言葉だけでなく絵で伝えようと思いついたそうです。絵は自分の体験や他の体験者のお話に基づいて描かれています。絵に添えられた説明文は潮平さんの娘さんやお孫さんが協力して作成し、ルビもふられていて読みやすくなっています。

八重山での戦争中の日常、そしてマラリア蚊が群がり集まる地帯に強制移住せざるを得なかった「戦争マラリヤ」の悲惨な様子について克明に描いてくださっています。

この本をぜひ手に取っていただきたいと思います。そして「ふたたび愚かな戦争を始めたりすることがないように」という潮平さんはじめ多くの戦争体験者の方々の思いを引き継ぎ、平和を求めていく道を忘れない道しるべになりますようにとお祈りします。

絵本の紹介 「戦争が終わっても」ぼくの出会ったリベリアの子どもたち

写真/高橋 邦典
文/高橋邦典
2005年7月発行
ポプラ社

 2/26の子どもの教会からのメッセージ3回目は、 白石 雅一さん(いずみ愛泉教会員)から「戦争と少年兵」という題でメッセージを受け止めました。
 メッセージの中で、ロシアがウクライナに侵攻して1年がたち、ウクライナの子どもが連れ去られているという指摘があると紹介されました。ロシアは、その子どもたちを「少年兵」に仕立て、争いの前線に立たせようとしているのだそうです。近年、手にする武器が軽量化し、子どもでも扱いやすいという指摘もあるそうです。
 一方、ウクライナの争いがまだ激化していない地域では、木のおもちゃの銃を持ち、検問ごっこをしている子どもの姿が紹介されました。大人が始めた紛争に影響を受ける子どものこの姿が賞賛されていることが問題であることに触れました。 
 メッセージの最後に、私たちはお互いに反戦の意思を広め合いましょう、神さまが見ていてくださることを信じて歩んでいきましょうと祈りました。紛争がはじまると、親を失った子どもが生きのびるために戦いに加わる、また兵士の数が足りなくなった武力勢力が誘拐した子どもを「少年兵」に仕立てていくことが子どもの人権を守る団体から指摘されています。
 この「戦争が終わっても」という写真絵本は、西アフリカのリベリアで内戦の中を生きる子どもたちの姿を追っています。
 厳しい現実を生きる子ども達の姿が迫力がある写真と文で展開されています。
「少年兵」になったいきさつや「少年兵」をしていたことによって、学ぶ機会や経験を奪われて成長した現実をどう過ごしているかを知る手掛かりになることでしょう。どうぞ、手に取ってみてください。

絵本の紹介 「世界のともだち 18  パレスチナ 聖なる地のルールデス」

 

「世界のともだち18 パレスチナ  聖なる地のルールデス」
写真・文/ 村田 信一
偕成社
2014年11月出版 

 2/19の子どもの教会からのメッセージ2回目は 鈴木凪子さん(いずみ愛泉教会員)から「パレスチナを覚えて」という題でメッセージを受け止めました。

 鈴木さんは、聖書に書かれているイスラエルに行ってみたくて、1971年に、農業を中心とした共同体の「キブツ」で研修生としてお働きになったという大切な思い出をお話ししてくださいました。

 鈴木さんがイスラエルを訪れる前から、そして今現在もこの地は争いが止みません。今は、祖国から世界各地に散らばっていたユダヤ人たちがユダヤ人の国家建設を目指し戻ってきたことから、この地に住んでいたパレスチナの人々の領土を奪うために争いが続きます。イスラエル側に有利なように巨大な壁の建設による移動の制限、農地没収、水源地の制限など、パレスチナ側が一方的に虐げられている現実にも鈴木さんは触れられていました。

 「世界のともだち18 パレスチナ  聖なる地のルールデス」は、キリスト教徒の家庭に育つ10歳のルールデスの生活を紹介しています。ルールデスはヨルダン川の西岸地区側のパレスチナ自治区に住んでいます。

 聖書に書かれ、今なお様々な争いと複雑な事情があるこの土地に住む子どもの生活は、さぞや大変なのでは?と思い読み進めると、ルールデスのいきいきとした日常生活がたくさんの写真で紹介されています。

 この本を読んで、10歳のルールデスが2023年の今もどうか安全に暮らしていますようにと祈ります。そして、「世界のともだち」シリーズはたくさん出版されています。どうぞ、手に取ってみてください。