絵本の紹介

「絵が語る八重山の戦争」  郷土の眼と記憶

潮平 正道(著)
発行2020年8月15日(初版)
南山舎

 この本は、戦争中に八重山で起こっていたことが描かれています。米軍が上陸し激しい地上戦が繰り広げられた沖縄島では、アメリカ軍が撮影した写真が残っていますが、八重山では記録が残っていません。この本は八重山の戦争の様子を知るには貴重な作品で、1度は絶版になりましたが再販運動がおこされ、2023年の6月から再販され始めました。

八重山の石垣島で生まれた潮平さんは、戦後に子どもたちに平和学習をする際に戦争体験を言葉だけでなく絵で伝えようと思いついたそうです。絵は自分の体験や他の体験者のお話に基づいて描かれています。絵に添えられた説明文は潮平さんの娘さんやお孫さんが協力して作成し、ルビもふられていて読みやすくなっています。

八重山での戦争中の日常、そしてマラリア蚊が群がり集まる地帯に強制移住せざるを得なかった「戦争マラリヤ」の悲惨な様子について克明に描いてくださっています。

この本をぜひ手に取っていただきたいと思います。そして「ふたたび愚かな戦争を始めたりすることがないように」という潮平さんはじめ多くの戦争体験者の方々の思いを引き継ぎ、平和を求めていく道を忘れない道しるべになりますようにとお祈りします。