出典:「黒い雨」訴訟を支援する会(2015年11月4日 広島地裁提訴の様子)
「黒い雨」を浴びて健康被害が生じたのに、国の援護対象区域外を理由に、広島市・県が被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法として、住民84人が却下処分の取り消しを求めた訴訟判決(要旨)があり、広島地裁の高島義行裁判長は全員の却下処分を取り消し、被爆者と認めて手帳を交付するよう命じました。
「黒い雨」訴訟・広島地裁判決についての声明
20200729 「黒い雨」訴訟原告団・弁護団、「黒い雨」訴訟を支援する会
「黒い雨」区域外も被爆者認定 広島地裁、初の司法判断(20200729 日本経済新聞)
「黒い雨」全面勝訴 84人全員を被爆者認定 援護区域見直し迫る
広島地裁、初の司法判断(20200729 中國新聞デジタル)
黒い雨訴訟で原告勝訴 国は広く被害者の救済を(20200730 毎日新聞社説)
「全員救済につながる」 長崎の原告団も「黒い雨」判決を歓迎(20200729 西日本新聞)
日本が中華民国やアメリカなどと武力で争っていた戦争末期、1945年8月6日・広島、 8月9日・長崎、アメリカ軍は原子爆弾「リトルボーイ」「ファットマン」を投下しました。爆発時だけでなく、その後も原爆投下を起因とする放射線被ばくは続きました。放射線障害を積極的に調査・公表しなかったり、「被害者(=被爆者)」として認定されない人為的要因(不適当な制度設計、線引き)のため、放置されてきた深刻な被害がようやく認められ、救済への道が開かれました。被告の市や県、国は控訴せず、原告の方々への早急な支援実施が行われるよう切望します。
この司法判断は、「黒い雨」を浴び、放射線障害が認定された原告84名にとどまらず、2011年の東京電力福島原発事故により生じた広域的な放射能汚染について、国や行政などによる支援のあり方や、支援対象地域の妥当性にも深くかかわるものです。
核兵器に限らず、核エネルギー利用や原発事故にともない生じる、あらゆる被ばく者救済へとつながることを願います。
お亡くなりになられた数多のヒバクシャの安らかな眠りを祈りつつ。
日本キリスト教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ 事務局長 服部賢治