「平和を考える日礼拝」

 9月8日に「平和を考える礼拝」が行われました。

 今年は、「とめよう戦争への道!百万人署名宮城県委員会」代表で、様々な市民運動で盛んに活動されている立石美穂さんにメッセージをしていただきました。昨年の10月から続くイスラエル軍のガザ地区侵攻に反対するデモでも精力的に活動されている立石さんは、ガザの平和を願い、連帯する祈りが込められたスイカのバッチを胸につけて、平和のために私たち主権者ができることはたくさんあると語ってくださいました。立石さんのレジュメを紹介します。

「平和のために私にできること」

立石 美穂

 立石美穂と申します。市民運動をいろいろとやっています。20代の頃からずっとなので、生活の中に運動がある感じで、もしかすると運動の中に生活があるのかもしれません。

 最初に私のおいたちなどを少しお話ししたいと思います。1960年に福井県の敦賀市で生まれました。父が国鉄職員だったため、生後100日で敦賀を離れ、北陸地方をあちこち行ったり来たり、小学校は金沢で卒業し、静岡市の中学校に入学、中3の夏休みに広島市に引っ越し、中学校の残りと、高校、予備校と広島で過ごし、大学入学で仙台にやってきて、それからずっと仙台に住んでいます。

 14歳という多感な時期に広島に行ったことがその後の私の生き方に影響していると思います。1974年でした。それまで通っていた静岡の中学校に比べて、すごく自由な学校で、髪形も自由度が高いし、休み時間にギターを弾いている子がいたり、けっこう驚きました。また、週に一時間平和教育の時間があり、その時に部落問題などを初めて知りました。街の中にある中学校でした。広島は川がたくさんありますが、川沿いにはバラックがいくつも建っていました。戦後30年近くたっていましたが、まだ終戦直後のような感じがありました。卒業して大人になってから、あのバラックから同じ中学校に通っていた子もいたのだと聞きました。バラックに住む人たちは、原爆にあってから、立ち直りそこねたのかもしれないし、どんな事情があったのか、今どうしているのかと気になります。そして、これも大人になってから知りましたが、同級生には被爆2世の人が結構いるということです。同窓会に行くと、この年齢で亡くなっている人が多いのです。8年くらい前に、あれ?と思いました。癌で亡くなった人、闘病中の人が仙台の周りの人よりも、圧倒的に多いと思います。先生も早く亡くなった方がいて、被爆しとったんじゃ、と聞きました。

 さて、私が今やっていることをざっとお話しします。戦争反対と原発反対をメインに動いています。今回は戦争反対のことをお話ししようと思いますが、私は、とめよう戦争への道!百万人署名運動宮城県委員会の代表をしています。百万人の署名運動は、戦争と戦争につながるすべてのことに反対する運動です。具体的なテーマはたくさんありますが、特に憲法改悪、そして沖縄問題が大きなテーマとして、ずっとあります。それから、地元宮城県でもきな臭い動きがたくさんあります。6月には、自衛隊松島基地で、バリアントシールドという米軍との合同演習があり、演習反対の申し入れに行きました。自衛隊基地と東松島市にも申し入れたのですが、東松島市は騒音や安全といった、市民生活への影響という点からしかこの演習の問題点を捉えていないことにびっくりしました。これは、青森の三沢基地が敵からの攻撃で使えなくなった場合に備えて、という想定で行われた訓練で、内容的には、敵基地攻撃といった事柄も入ってきます。これは今までの訓練からは一歩ふみこんだ内容で、ほかの国から見たらどのようなことなのか、ということを東松島市の担当の人は考えていないのです。松島基地というとブルーインパルスが有名で、宮城県のみならず、各地のお祭りで曲芸飛行が行われていますが、あれも戦闘訓練の一環です。また街の人の多いところで曲芸飛行をするのはとんでもなく危険なことだと思います。しかし、東松島市は、ブルーインパルスの町として宣伝し、ブルーインパルスがついたグッズがお土産としてコンビニでも売られています。自衛隊に親しみを持たせるとか、子どものあこがれにさせるとかのたくらみに、多くの人がのっかっていることが心配です。自衛隊を憲法に明記しようとしている自民党の憲法改悪のたくらみにもつながっていると思います。でも、Facebookを見ると、お祭りの時にブルーインパルスの写真がいっぱい出てきて、あなたも!とがっかりしました。

 そして今日からは王城寺原の自衛隊演習場で、ブリュネタカモリと名付けられた、フランス軍との合同演習が始まっています。私たちは昨日反対の申し入れをしたばかりです。これはどんな演習かと言いますと、都市ゲリラを想定した訓練だそうです。フランス軍は、アルジェリアやチャドでゲリラ戦の経験があるから、それに学ぶのだそうです。どう思われますか?私は、戦争がますます身近で、すぐにでも始まりそうな気持になります。心がざわざわします。でも、報道はそんなに大きくないし、気にしていないと通り過ぎてしまいます。そういうことが自公政権の狙いかとも思います。

 ウクライナ戦争が始まって2年半が過ぎました。昨年2月にウクライナから石巻に避難しているイリナさんのお話を聞きました。ロシア軍が国境あたりで訓練をしているのは知っていた、しかし戦争が始まるとは思っていなかった。2月24日に隣の人がどんどんとドアをたたいて「戦争が始まったのよ!」と言いに来たので初めて知った、と言っていました。それからマンション地下の防空壕で暮らした話や、日本に避難してくるまでの経緯などを聞いたのですが、そんなことがあってはいけないということです。そんなに急に戦争って始まるものなのかと、驚きましたが、それは急と言っても、情報が少なかったり、正しく報道されていなかったり、自分でバイアスをかけてそれほどのこととは思っていなかった、ということだと思います。そうなる前に止めること、アンテナを高くして、政府に騙されないことが大事なのではないでしょうか。今は毎週水曜日に、ウクライナ戦争反対のスタンディングを長町でやっていて、私はできる限り参加しています。昨年10月からはパレスチナへのイスラエルの攻撃にも反対をしています。パレスチナの問題が始まってから、ウクライナの行動が少なくなってしまい、数少ない機会としてがんばって参加しています。

 パレスチナの話になりましたが、こちらは、パレスチナと仙台を結ぶ会の石川さんが中心になって、毎週土日にスタンディングまたは、日曜日は2週間に1回の割でデモをしています。ウクライナにしても、パレスチナにしても、私たちがこんな遠く離れた日本の地方都市でスタンディングやデモをして、何の役に立つのか?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。私が行動する理由は、いてもたってもいられないからということですが、役に立つ理由もあります。まず、町ゆく人々に知らせること。ちゃんと話を聞いてもらえるかどうか、ということはありますが、少なくとも目に入って、ちょっと気になってほしい。立っていて、高校生が「ガザの攻撃やめろって何のこと?」と友達に言っているのが聞こえました。今年の6月くらいです。こんなに報道されているのに自分の興味のあること以外は入ってこないんだな、と思いました。テレビのニュースも見ないで、新聞も読まないで、ネットで興味のあることだけを調べていたら、そうなってしまうかもしれません。今日、駅前で「ガザへの攻撃やめろ!」というプラカード持っている人を見た。あれは何だろう、ということがきっかけとなるかもしれないのです。

 役に立つ理由その2です。それは、ウクライナの人たち、パレスチナの人たちに私たちの行動が伝わり、自分たちは孤独ではない、世界に見捨てられていないと思ってもらえることです。これはSNSの時代ならではのこと。私もFacebookで行動を発信していますが、ティックトックで動画をあげている人もいますし、私たちの小さな行動は世界に伝わっているのです。小さな行動でも何もしないのとは全然違う。ゼロはいくつ足してもゼロですが、1たす1は2です。足せば足すほどふえていきます。小さな行動がつながって世界を変えていくと思います。

 そして役に立つ理由その3です。それは戦争はウクライナやパレスチナのことではなく、日本の問題につながっているということです。パレスチナは戦争ではなくて、イスラエルによる虐殺であると考えますが。しかし、軍事化が進む沖縄の人が「今日のガザは明日の沖縄」と言いました。私はそれに「明後日の宮城」と言いたいのです。その理由は、先ほどお話しした宮城県内での自衛隊と各国との軍事演習のことともつながります。特に安倍政権、菅政権から岸田政権になって、いっそう具体的な戦争の準備が始まったと思います。敵基地攻撃能力、これは反撃能力と言い換えましたが、遠いところの敵国の基地から爆弾が放たれる前に攻撃する能力ですから、迎撃とは違い、先制攻撃そのものです。それを国会にも諮らないで閣議決定で決めたということはとんでもないことです。そういうことを許さない、ということをいろいろな機会に言い続けること、決して忘れないこと、これが大事なことです。それは、遠いところで起きている戦争や虐殺とつながっているということ。今回のこの2つの戦争・虐殺は、原因は違いますが、どちらも武器がなければできませんし、武器が供給されるから続いています。その武器は日本と無関係ではありません。日本製の部品が軍事用に転用されているという事実があります。もっと露骨に日本がライセンス契約でパトリオットを作り、それをアメリカに輸出することが可能になりました。ということは、日本製の武器をウクライナやイスラエルが使うかもしれないのです。また、逆に、イスラエル製の武器を日本が買う動きもあります。実践で使って効果があることが確かめられているからです。日本に住んでいる私たちは遠い国の戦争と無関係ではないのです。

 だから私たちには平和のためにできることがたくさんあります。私はスタンディングやデモなど人目に目立つような行動をしていますが、それができなくても、戦争についてだれかと話すことだって立派な行動だと思います。本を読んで知ること。講演会などに行くこと。日本政府にイスラエルに攻撃をやめるように言ってくださいと電話したり、FAXを送ったり、Xに投書したり、メールを送ったりすること。ロシアやイスラエルのものを買わない、イスラエルに協力する企業のものを買わない、これはスターバックスやマクドナルドが有名ですが、他にも調べていただけるといいと思います。調べるということも反戦運動の一つだと思います。イスラエル製の武器を輸入する代理店に抗議している動きも聞いています。防衛大学校の卒業生らがイスラエル製の攻撃型ドローンの購入停止の署名活動をしていた話は今年6月ごろに話題になりました。私たちができる署名もいろいろあります。他にも学生たちの行動を支援する、パレスチナの病院や、子どもたちの救援するところに寄付をする、など。先ほども申し上げましたが、1たす1は2なので、小さな行動でもあきらめないで続けていくことで、世界は変わるのです。世界は簡単に変わらないと言われますが、確かに簡単じゃないですが、変わります。だって世界は私たち一人ひとりでできているのですから。あきらめないことが肝心です。平和な未来をあきらめないこと。世界中の人がみんなあきらめたら、地球が滅びてしまいますから。

 平和は黙って政府の言うとおりにしていては守れないのだと思います。世界の平和をあきらめないで、平和のためにできることを毎日積み重ねていくことしかないのだと思ってこれからも生きていきます。

 以上で私の話はおしまいです。お聞きくださってありがとうございました。

えほんのしょうかい

作:森 絵都
絵:吉田尚令
岩崎書店

5月19日はペンテコステ礼拝でした。教会の誕生日でもあるこの日、こどもさんびか「ふしぎなかぜが」のさんびかに新たな力を得た思いでした。

この絵本は、2015年のペンテコステ礼拝で読んだ絵本です。原発事故がおきたすぐそばの福島県浪江町。牛飼いの吉沢さんは、被爆して商品とならなくなった360頭の牛の世話をずっと続けます。自分が飼っていた牛だけでなく、お世話をする人がいなくなり、放たれた牛たちも一緒に飼い続けます。その時の吉沢さんの複雑な想いを抱きながらも飼い続ける姿が描かれています。

最近、吉沢さんが震災から13年たった今なお、180頭の被爆した牛を飼っている番組を視聴しました。牛は20年生きる動物だそうです。年老いた牛1頭1頭の最後を見守り、命の意味と向き合い続ける吉沢さん。ぜひ、「希望の牧場」を手に取ってほしいと思います。