「そのみ旨を訊ね求めつつ」

テモテへの手紙 一 4章1~5節
詩編 79編8~13節

 テモテへの手紙が書かれた2世紀初め、教会は国家の弾圧など外との戦いのみならず、異端という内なる戦いも経験しました。この手紙には、霊・精神を尊いものとし物質・肉体を価値低いものとするグノーシス主義の影響を受けた者たちが 2「偽りを語る者」と名指しされています。こうした霊肉二元論は3節に見られるように禁欲主義として、また時には逆に放縦となって現れます。でもそれは、神ならぬものに判断を委ねていく逃げの姿勢であり、そうした隙から人はやがて諸力に支配されていくのだと警告されています。

 ここで著者は 4「神がお造りになったものはすべて良いものであり、感謝して受けるならば、何一つ捨てるものはない」と、すべてには私たちの思いを超えた意味があることを語っています。神戸女学院を創立したE.タルカットの口癖は“背筋をまっすぐにして歩きなさい”でした。これは姿勢のことにとどまらず、神の前に一人の主体として立ち歩みなさいとの指し示しでした。諸力渦巻く世にあっても、神の前に立ちみ旨を訊ね求めつつ歩むときに、私たちはそれぞれの道を踏んでいくことができます。

 B.C.6世紀、亡国という大きな苦しみを味わったイスラエルの民は、約60年に及ぶ捕囚の時を経てそれが自らの罪の帰結であったことに気づき(8・9節)、破れある者を捨てることのない主の 9「御名」に依り頼む主の13「民」「羊の群れ」として再出発を果たしました。苦しみと屈辱の捕囚の時にも主のみ旨、意味があったことを悟った時に、新たな歩みは始まったのです。

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