●足音で分かる / 高橋 力 |
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長年「倫理学」なる名目の講義で関わっている看護学校の卒業式で祝辞の機会があって、大石邦子さんの「この生命ある限り」から話した。思わぬ事故で半身不随の身となり入院。孤独と焦りの悲しみの日々、深夜の足音でどの看護婦さんかが分かる様になる。切ない患者の思いがどの様に受けとめられているか。自分の足音に気づいている人はどれほどあるか。 歩き方が問われているのではない。それを聞いている人の思いと存在にどれだけ思いを馳せる事が出来るかが問われる。 足音のうるささが問題なのではない。馬の蹄のようなぽっくり靴をとやかくは言わない。ただ転ばないかと心配し、足の裏の感覚が鈍くなって健康に響くことは気になる。 ナマアシの様子よりも彼女らがおかあちゃんになるときの大変さの方が心配だ。余計なことが気になる「年寄り」じみた自分はどんなに歩いているのか。さっそうと歩けばすってんころりん。全身打撲に気を付けて前こごみにそろそろ歩くほかないか。道が凍りつかない季節は待ち遠しい。 立場や年齢や能力がみんな違うお互いが共に生きる感性が薄くならないようにしよう。若いもんに言えるのは年寄りの勇気(言う気)だ。倫理学は人間が生きる道を問い続ける学びなのだから。 |